獺祭純米大吟醸酒50に関しては、獺祭純米大吟醸酒磨き三割九分、二割三分と飲み比べた記事にもレビューを書いています。
また、獺祭13種類を比較したまとめ記事も書きました。獺祭50のシリーズの中の位置づけ、私の個人的な評価もわかると思います。
<概説・評価>
「獺祭純米大吟醸50」は山口県の旭酒造が製造している日本酒です。
獺祭ブランドにはこれ以外に、磨き三割九分、スパークリング、磨き その先へ、などの商品もあります。
しかし、獺祭のスタンダードは獺祭純米大吟醸50です。価格もこの商品が最安レベルです。
他のブランドだと、普通酒があって、その上に吟醸酒、最上位に大吟醸、というラインナップが並ぶ場合が多いですが、獺祭はいきなり純米大吟醸です。
(獺祭には等外米を使用した「普通酒」は存在しますが、精米歩合・製法などから実際は大吟醸に相当する商品です)
今現在、高級日本酒の中で獺祭は最も人気のある日本酒です。
アマゾンの純米大吟醸酒のカテゴリーでは売上No.1を長期間維持しています。
人気の理由ですが、味・風味が優れていることは当然ですが、大吟醸にしては安いのでコスパが良いことも大きいです。
通常、こういった高級日本酒は酒蔵で杜氏たちの手によって、その長年の経験を元に手作りで製造されるので、少量しか生産できず価格も高くなりがちです。
しかし、旭酒造では酒造りの機械化・IT化を進め、獺祭は大規模な工場で大量生産されています。それがリーズナブルな価格につながっています。
獺祭純米大吟醸50のスペックは以下のとおりです。
原材料:米、米麹(山田錦)
精米歩合:50%
日本酒度:+5
酸度:1.5
9号酵母使用
山田錦(香りの強いお酒ができる傾向にあるという現在一番人気の酒米)と9号酵母(これを使えば強い吟醸香が出ると人気の酵母)の組み合わせは鉄板です。
人気の酒米と人気の酵母を使用していますし、人気が出るべく作られたお酒なんだなということが分かります。
<実際に飲んでみました>
これまで何度も獺祭は飲んできましたが、何回飲んでも美味いですね。
口当たりはフレッシュ、香りは洋梨のようにフルーティーで若干甘く、それでいて米の旨味もあって飲みごたえもある。極めて完成度の高い日本酒です。
そして、もう一点、獺祭の人気の秘密ですが、獺祭の美味しさは分かりやすいのですよ。
派手な果実臭、蜜のような甘さで、なおかつ軽やかで飲みやすい。
甘い洋梨が嫌いな人ってほとんどいないですよね。また、洋梨の美味しさは子供でも理解しますよね。
日本酒の中には、ある程度飲み慣れないと美味しさがわからないお酒も少なくありません。
そのいわゆる難しさが日本酒消費量の低迷につながっている部分はあると思うのですが、獺祭はそのわかりやすさ故に、生産量は年々増加しています。
分かりにくいものを経験を積んで分かるようになる楽しさも私は理解しますが、やはり分かりやすいならそれに越したことはないと思います。
そういう点で獺祭は偉大なお酒だなあと思います。改めて。
まあ、そういう考察はある意味野暮なことで、酒なんて何も考えずに飲んだらいいんですよ。
獺祭は美味い。
いや、美味いだけじゃない、なんというか、飲めば何か良いことが起こるような、そんな幸せな気分にさせてくれるお酒です。
<獺祭の飲み方>
様々な飲み方で飲んでみた感想です。
常温(20℃付近)→香りは控えめ、米の旨味が強く出て飲みごたえがあります。悪くはないですが、冷やしたほうがおすすめです。
冷蔵(10℃付近)→香り華やか、口当たりがよく、スッキリ飲めます。おすすめ。
冷凍庫で30分冷やす(10℃以下)→水のようにスッキリ。上位商品である「磨き三割九分」に似ています。
熱燗→普通、大吟醸クラスのお酒は温めませんが、一応熱燗にしてみました。香りはほとんど飛んでしまってます。代わりにヨーグルトっぽい風味が出てきます。不味くはないですが、獺祭の良さが消えてしまってます。おすすめしません!
水割り(20℃付近)→<ミネラルウォーターで半分ぐらいに薄めてみました。飲みやすいですが、当然風味も薄まって味気ないです。おすすめしません。
<料理との相性は?>
料理との相性はどうでしょうか?
まずは、獺祭とかつおのたたきを合わせてみました。
かつおを一口食べて、飲み込んだ後すぐ獺祭を一口含みます。
かつおの油や生臭さを獺祭がキレイに洗い流してくれて、新たにまたかつおが食べたくなります。
かつおもポン酢やネギと一緒に食べると味はキツいですが、獺祭も腰がしっかりしたお酒なので、かつおの味が獺祭の風味を損なわせるということはありません。
ただ、獺祭は洋梨のようなフルーティーなお酒。
洋梨とかつおを一緒に食べるとしたら、ちょっと違和感があるかも。
そういう意味では相性は微妙かな、と思います。
次に肉野菜炒めと合わせてみました。
(これは昼飯です。この日は嫁が不在だったので昼から飲んでました笑)
この肉野菜炒めは結構油っこくて味も濃いです。
しかし、獺祭を一口含めば、それも綺麗サッパリ洗い流せます。
肉野菜炒めにも獺祭は負けてません。
脂っこくて味の濃い料理なら、フルーツで口直し、というのも考えられます。そういう意味では獺祭との相性はいいのかもしれません。
ただ、これは私の個人的意見ですが、獺祭のような派手なお酒は食中酒ではなく、お酒だけで飲むのがいいんじゃないかと思います。
基本、食中酒に向くお酒というのは、香り控えめ、味わいも穏やかで、しかしながら、料理の味を受け止めるだけの懐の深さがあります。
獺祭は、自己主張が激しく、俺が俺が、というお酒なので、食中酒としては合わない料理も多いと思います。
<価格は?入手難度は?>
価格は720mlで1,539円、1.8Lで3,078円です。先にも書きましたが、大吟醸酒としては安い部類に入ります。普通なら5千円ぐらいします。
なぜ安いかというと、工場で大量生産していることもありますが、獺祭は基本的に卸問屋を通さず、直接小売店に卸されるので中間コストが節約できることも理由です。
獺祭は全国に630ほどある正規取扱店なら定価で購入できます。
それ以外の小売店でも販売されていることもありますが、最近では定価より高いプレミア価格がついていることも珍しくありません。
ネット通販では定価で販売しているお店もありますが、プレミア価格で販売しているお店もあります。ネットで購入するならよく価格比較してから購入しましょう。
それほど珍しいお酒ではないものの、人気すぎてプレミア価格がつくこともあることから入手難度は普通とします。
<どういうシーンに合うお酒か?>
金銭的に余裕のある人なら普段飲みに使えるかもしれませんが、一般庶民は何かおめでたいことがあった時に飲むお酒だと思います。
個人的には酒好きの友人と久々に再会した時などは獺祭を一緒に飲むことが多いです。
こういう派手なお酒は物思い耽りたいときなどは不向きですが、気分を盛り上げたいときにはピッタリのお酒です。
獺祭を交えれば友人との会話もはずむというもの。
いざという時のために部屋に一本常備していてもいいかもしれませんね。
<獺祭純米大吟醸50の特徴のまとめ>
●コスパに優れる
●人気すぎてプレミア価格がつくこともある
●入手難度:普通
なお、本サイトで紹介している多数の日本酒のうち、私が特におすすめしている商品をランキング形式でまとめました。日本酒好きの人なら是非ご覧ください。
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以下は他の人の体験談です。
獺祭純米大吟醸50を飲んでみた感想(30代/男性)
私は前々から獺祭の日本酒に興味があったのですが、他の日本酒と比べると価格が高めなのでなかなか手が出ないでいました。しかし、正月くらいは多少高いお酒を飲んでもいいだろうと思ったので、今年の正月に獺祭の中では比較的手頃な価格の獺祭純米大吟醸50をネット通販で購入し、家族で飲んでみることにしました。
獺祭純米大吟醸50を飲んで最初に思ったのは「味はやや甘めだけどスッキリしていてとても飲みやすい」ということでした。私はおせち料理を食べながら獺祭純米大吟醸50を飲んだのですが、甘めといってもスッキリした甘さですし、甘さが後に残ることもないので、おせち料理にも良く合いました。
獺祭純米大吟醸50は味や香りがとてもフルーティーなので、どちらかというとワインに近いという印象を受けました。そのため、和食だけではなく洋食にも合うのではないかと思いました。
正月ということもあり、最初は熱燗にして飲んだのですが、このお酒は熱燗にするより冷やして飲んだ方が美味しそうだったので、次は冷やして飲んでみることにしました。すると、熱燗にして飲んだ時よりもさらに味がスッキリして飲みやすくなったので、気が付いたらいつのまにか1人で3合も飲んでしまいました。
また、母はあまり日本酒が得意でないので普段はほとんど日本酒を飲まないのですが、「とても飲みやすくて美味しい」と言って酔っぱらうまで飲んでいました。
父はどちらかというと日本酒は甘口より辛口の方が好みなのですが、「後味がスッキリしているので甘口でも美味しい」と言って獺祭純米大吟醸50を喜んで飲んでくれました。
獺祭純米大吟醸50でも十分に美味しいと思いましたが、獺祭にはもっと精米歩合が低いお酒があるので、次は獺祭純米大吟醸磨き三割九分を飲んでみたいと思いました。精米歩合が低くなるとそれだけ価格も高くなりますが、精米歩合が50%でもこれだけ美味しいのなら多少値段が高くても飲む価値はあると思います。
獺祭純米大吟醸50は他の日本酒と比べると価格はやや高めですが、味や香りの質の高さを考えればコストパフォーマンスはかなり高いと思います。また、このお酒はやや甘めで飲み口がフルーティーという特徴があるので、日本酒好きの人だけでなく日本酒が苦手な人にも自信を持ってお勧めすることができます。
獺祭が見る目を変えてくれた(30代/女性)
言わずと知れた銘酒、「獺祭」。今では置いているお店もずいぶんと増え、インターネット販売に頼らなくても、店頭で手にいれることもできるようになりました。でも、今から12~3年前に、こんか獺祭の姿を想像していた人はいたでしょうか?私が獺祭を知ったその当時は都内でも取り扱いがあるのは数軒、10軒あるかないかであったと記憶しています。
獺祭を飲みたいがために、神奈川から電車を乗り継ぎ、東急線の某セレブタウンまで行っておりました。駅前にそびえる高級百貨店のすぐ脇、15人ほどで満席になってしまうような古い小料理屋で獺祭と出会いました。
大将の作る和食はどれもお手頃で旨い。大皿に盛られカウンターに並ぶぶり大根や里芋の煮っ転がしは、フレンチのコースに何万も払うのがバカらしく思える逸品でした。
日本酒にも精通されていたようで、そこで出会った獺祭という聞いたこともないそれは、私の日本酒に対する見方をぐるっと変えてくれました。
12~3年前の当時、まだ二十歳そこそこだった私の日本酒に対する印象は最悪でした。学生飲みで初めて飲んだ日本酒は、でっかいプラスチック製で青いキャップのボトルに入っていました。まるでアルコールランプのエタノールを口にしたような、むせかえる匂いと工業的な味。一口で日本酒が嫌いになりました。獺祭を勧められたときも、半分嫌々でした。
しかしいざ口にしてみたらどうでしょう!あの悪酔いしそうなエタノール臭ではなく、よく熟れた洋梨のようなさわやかで甘い香りがするではないですか。日本酒は香り付けにフルーツ果汁を加えるのかと勘違いしたほどです。エタノールがガツンと来るのではと用心して口に含むと、スッと自然に受け入れられてまた驚き・・・。日本酒の味の表現は難しいですが、獺祭はその香りと同じようによく熟れた、しかし若さのある味だと感じました。飲みやすくてグイグイと進んでしまいますが、酔いの回った口で、あのさわやかで優しい味がわからなくなるのは嫌だと思いました。女性に勧めたい、「飲みやすい」なんて言う言葉は何となく失礼で嫌いですが、端的にいうとそんな日本酒です。
あれから10数年。獺祭の活躍を嬉しく思う一方、手を離れてしまったような寂しさを感じています。
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