越乃寒梅別選を飲んだのでレビューします。 越乃寒梅については、普通酒に相当する「白ラベル」と、純米吟醸の「灑」は既にレビューしています。
どちらも香り・味わいは控えめながら品格の高いお酒という印象でした。 別選はどうでしょうか?
続きは後ほど。
<概要>
越乃寒梅別選は新潟県にある石本酒造が製造している日本酒です。
別選とは普段聞き慣れない言葉ですが「特別に選ぶこと」という意味です(goo辞書による)。
それって特撰と同じ意味なんじゃないの?と思いましたが、特撰は「特別にすぐれたものとして選び出すこと」という意味です。
特撰の方が格上のような意味に思えますが、越乃寒梅でも別選は特撰の下の商品になります。
また、別撰、特撰を含め(日本酒の)越乃寒梅シリーズは7商品ありますが、値段的に別選は下から2番目になります。 相対的なランクは低いのですが、そこは越乃寒梅。 精米歩合55%の堂々たる吟醸酒です。
越乃寒梅別選のスペック
原材料:米、米麹(全て酒造好適米)
醸造アルコール アルコール度数:16% 精
米歩合:55%
日本酒度:+7
公式サイトには説明としてこうあります。
香り・味ともに軽やかな特徴を持つ酵母と、酒造好適米のみで醸される、軽快でスッキリした味が特徴です。「淡麗辛口」と呼ぶにふさわしく、常温や冷やで飲むと爽やか、ぬる燗では味の幅の拡がりをお楽しみ頂けます。何か良いことがあった時、ちょっと奮発したい、そんな時にぴったりの吟醸酒です。
越乃寒梅は淡麗辛口のお酒として有名ですが、別選はその中でも特に淡麗辛口のようです。 個人的にも淡麗辛口のお酒は好きなので飲むのが楽しみですね。
<実際に飲んでみました>
まずは冷やして飲んでみました。
吟醸酒ですが吟醸香は控えめ。 味わいも淡白です。 辛口といいますが、ふんわりとした綿菓子のような甘味もあります。 サラサラした感触のお酒ですが、少々ピリッとアルコールの刺激がします。 まさに軽快でスッキリしたお酒ですね。
次は常温で。 香りは変わりませんが、味わいが深くなってきました。 とはいえ、まだスッキリした飲みごたえです。
次はぬる燗程度に温めました。 香りはあまり変わらない気がします。 より米の味わいが出てきてほっこりします。 それでも重たくはなく、軽さを感じます。
どの温度で飲んでも美味しいですが、個人的には冷やして飲むのが好みでした。
<料理との相性は?>
割引で売ってたニラレバを肴に食べてみました。
刺し身や鍋など、淡白な和食に合うお酒なのは見当が付きますが、味の濃い中華はどうなのか?
…意外に合いますね。 淡白なお酒ですが、ニラレバの味や臭みに負けてないです。やっぱり芯のあるお酒なんですね。
淡麗辛口なお酒ということもあって、ニラレバの後味をサッパリ切ってくれます。 ニラレバに合うということは、大半の料理には合うのではないでしょうか。
<白ラベル(普通酒)との違いは?>
越乃寒梅白ラベル(普通酒)と飲み比べてみました。
白ラベルは普通酒扱いですが、精米歩合58%であり、実質的には吟醸クラスのお酒です。
別選の精米歩合は55%と3%しか違いがありません。
それで飲み比べてみると… やっぱりすごく似ています。
強い違いを言えば、別選のほうが飲みごたえが軽くてピリッとしてます。 しかし、目かくして飲み比べたとしたら当てる自信はないですね。それぐらいの微妙な差です。
<価格は?入手難度は?>
公式サイトによれば720mlで1,210円、1800mlで2,540円です。
しかし、この値段で買えるのは、ほぼ越乃寒梅特約店だけです。
別選は意外にその辺のスーパーでもよく見ける商品ですが、720mlであれば2千円程度のプレミア価格がついていることがほとんどです。
アマゾンだと特約店の出品があるので、ほぼ定価で購入できるはずです。
入手難度は普通とします。
<どんな時に飲むお酒か?>
毎日飲むのはちょっと高いかもしれませんが、特別な時に飲むならさらに上のランクの商品もありますし、ちょっと中途半端な感じもします。
言うなれば給料日など月に一回程度のおめでたい日に飲むお酒でしょうか。
あるいは、日本酒好きの友人を集めて、別選だけでなく白ラベルや特撰も一緒に飲み比べるのも楽しいかもしれません。
<越乃寒梅別撰の特徴のまとめ>
●料理にもよく合う
●白ラベルとの差は微妙
●入手難度:普通
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以下は他の人の越乃寒梅別撰体験談です。
それを料理酒に使うなんて……(30代/男性)
僕が以前勤めていた職場の元同僚で、
今も友人として付き合っている、僕よりもひと周りほど若い青年が居る。
彼もお酒を飲むのが好きで、仕事帰りに一緒にのみに行くこともしばしばあった。
一度、彼の実家を訪ねたことがあったのだけれど、
そこにあったものをみて、あまりのことに仰天してしまった。
かの有名な名酒「越乃寒梅」、しかも「吟醸酒」の文字が書かれた空き瓶。
それが驚くほど大量に、瓶のゴミとしてまとめられていたのである。
「え、これ、越乃寒梅だよね? 何でこんなにあるの? 全部飲んだの?」
そうたずねると、友人は苦笑いを浮かべながらこう答えた。
「料理酒ですよ」
ますます訳がわからない。
越乃寒梅の吟醸を料理酒に使う!?
一体彼はどんなセレブ一家の御子息なんだろうと、しばらく開いた口が塞がらなかった。
聞けば、越乃寒梅の蔵元である「石本酒造」に、彼の親戚がいるのだという。
毎年いい酒ができると、結構な量を送ってきてくれるらしい。
とはいえ、送られてきた全部を飲みきるのも大変なので、
結果として料理酒に使わざるを得ないのだとか。
役得と言ってしまうと失礼なのかもしれないけれど、酒飲みには大変羨ましい話である。
いや、むしろ妬ましい。
だって越乃寒梅を、それも吟醸酒を、料理酒として使うことができるなんて……。
こんな贅沢な話があるだろうか。
いや、何て勿体無い!
「実際、飲みきれなくて余ってしまうので……良かったら、何本でも持って行ってください」
と、彼からあっさりプレゼントされてしまい、そこでまた僕は度肝を抜かれてしまった。
とはいえ、沢山を持ち帰ることはできないので、一本だけをありがたく頂いて帰途に着いた。
「越乃寒梅」自体は以前にも何度か飲んだことがあって、
口当たりがとても柔らかく、かなり甘めの日本酒、という印象が強かった。
とにかく飲みやすいので、アルコール度数のことを考えなければ、女性にもおすすめできる。
そもそもが、日本一と言っていいであろう米どころ、新潟の酒である。
米のでん粉も良質で、甘い酒が出来やすいのではないか……というのは、僕の勝手な想像だけれども。
また更に、飲んだ後がとても良いのだ。
口の中や鼻腔に甘く芳醇な香りが広がる感覚。これが実に心地良い。
なるほど。確かにこの酒なら多くの人に好まれるなと、しみじみ実感したのを覚えている。
さて、友人から頂いた吟醸を飲んでみたのだが。
口当たりの良さ、甘みの質がより高い次元になっているのは言うまでもない事実として、
最も強く印象づけられたのは、以前心地よいと感じた香りが、更に深く華やかなものになっているという点だ。
驚くほどふくよかな香りがふわっと、口、鼻、喉を通過し、体中へ染み渡っていく。
その時は常温で飲んのだが、この酒は確実に燗向きだと感じた。
それも、あまり熱すぎない、ぬる燗くらいが丁度いい。
おそらく、あまりに熱くしてしまうと、風味や香りが落ちてしまう。
それよりも、ややぬるいと感じる程度の方が、
香りがより口の中に広がり、風味も存分に楽しめるのではないだろうか。
これを料理に使っているところを想像した。
台所は絶対に、いい香りに包まれているに違いない。
美味いだろうな、その料理。
ああ、羨ましい生活……などと友人を妬んだ己を恥じつつ、
その日は美味い酒を堪能させてもらった。
持つべきものは気前の良い友人。
ありがたや。
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