越乃寒梅白ラベルを飲んだのでレビューします。 越乃寒梅と言えば、地酒ブームを引っ張り、70年代から90年代にかけ、甘ったるくて不味いと人気が地に落ちていた日本酒の復権に尽くした大スター銘柄です。
現在でも人気・知名度はすべての日本酒の中でトップクラス、最近では獺祭などの人気が凄まじいですが、それでも知名度ではまだまだ越乃寒梅に及ばない気がします。 また、以前は日本酒と言えば芳醇甘口のお酒が人気でしたが、越乃寒梅がヒットしてからは日本酒のトレンドは一気に淡麗辛口になりました。 色んな意味で越乃寒梅は日本酒の歴史を変えた革命的銘酒と言えます。 他のお酒と同様、越乃寒梅にも様々な種類の商品がありますが、今回レビューするのは越乃寒梅白ラベルという、最もランクの低い普通酒です。
今回、越乃寒梅白ラベルは八海山普通酒、久保田千寿との3本セットで購入しました。 久保田千寿、八海山普通酒と飲み比べるのも楽しみです。
飲み比べに関しては別記事にまとめます。 ここでは越乃寒梅白ラベルのレビューのみです。 早速飲んでみると、 … あれっ、意外に普通?? うーん、こんなこと言っちゃあ他の日本酒愛好家から馬鹿にされるかもしれないけど、言ってしまおう。 白鶴のような大手酒造メーカーの上撰クラスの酒とそれほど変わんなくない?? 続きは後ほど。 越乃寒梅白ラベルは新潟県にある石本酒造が製造している日本酒です。
いわゆる普通酒に分類されるお酒ですが、精米歩合は58%。
精米歩合だけなら吟醸や特別本醸造に匹敵するグレードのお酒です。
なお、白ラベルの名前の由来は「清酒」と書かれているラベルが白いからです。
別選など他の種類の商品は別の色です。 越乃寒梅白ラベルのステータス ステータスだけ見れば高級酒に見えますが、白ラベルが越乃寒梅ブランドでは最も低いランクのお酒です。 白ラベルの上位商品には純米酒である「無垢」「金無垢」「灑」、吟醸酒では「別撰」「特撰」「超特撰」があります。 ただ、最下位なのは値段的な話であって、白ラベルには白ラベルの目指すべきところがあるようです。
公式サイトによれば、 目指すところは、「晩酌のお酒だからこそ『料理に寄り添い』『飽きずに楽しく飲め』『次の日に残らない』お酒」であること。 白ラベルは食中酒とのことなので、お酒自体はそれほど主張しない風味だと予想できます。
また、『飽きずに楽しく飲め』『次の日に残らない』とあれば、正座して飲まないといけないような気取ったお酒じゃないようです。 しかし、それでも、あの「越乃寒梅」です。
どうしても期待してしまいます。 今回、越乃寒梅を飲むのは初めての私としては、これほど飲むのが楽しみなお酒はないです。 まずは冷やして。
香りはあまり感じませんが、微かに日本酒の普通酒っぽい香りを感じます。
キリッとしてスッキリ爽やかな飲みごたえです。
余韻は短く、キレも良いです。
まあ、美味いと言ったら美味いですよ。 でも、うーん、精米歩合58%というから吟醸酒みたいな風味かと思いましたが、この白ラベルの風味はまさに普通酒のものです。
先日からレビューのために大関、白鶴、月桂冠などの普通酒を飲みまくってましたが、このあたりの上撰のお酒と、正直あまり違いがないと思いました。
後で上撰白鶴と飲み比べてみましょう。 次は常温。
味わいにコクが出て飲みごたえがあります。
香りは相変わらず控えめ。
キレもいいです。
食中酒としてはいいんじゃないでしょうか。 次はぬる燗程度に温めました。
普通酒は燗するのが定番です。
かなり味わい深くなりました。 辛口のお酒らしく、少々ピリピリするようになります。
食事中ではなく、酒だけ飲むなら燗がいいと思います。
マグロの刺身を肴に呑んでみました。
酒を飲んで、マグロをつまみ、また酒を飲んで…
いくら繰り返しても、このお酒はマグロの繊細な味わい・香りを損ないません。邪魔しないというか、包み込む感じ?
また、マグロの生臭さリフレッシュしてくれるので、いくらでもマグロが食べられそうです。 ついでに冷蔵庫に嫁が買ってきたナチュラルチーズがあったのでツマミにしてみました。
包容力のあるお酒ですが、さすがに一口ではナチュラルチーズの臭さを消せません。
3口ぐらい飲んでやっと口内がリフレッシュできました。
ナチュラルチーズにはやはりワインか、あるいはドライで香りの強い焼酎の方が合うでしょう。
さっきもちょこっと書きましたが、越乃寒梅と白鶴のようなスーパーで普通に(しかも割引価格で)売っているお酒って意外によく似てると感じました。 いや、あの名高い銘酒・越乃寒梅が白鶴と似てるって、日本酒ファンからは怒られそうですが、まあ、個人的な感想ということでご勘弁を。 しかし、何となくそう思いますでは失礼なので、ちゃんと白鶴も用意して飲み比べてみました。 ちょっとここで白鶴についてまとめます。 白鶴は日本最大の日本酒酒造メーカーであり、数十種類の日本酒を製造しています。安酒から大吟醸まで多くのラインナップを揃えていますが、今回用意した「上撰白鶴」は白鶴の最もスタンダードな商品、白鶴の顔です。なお、普通酒に分類されます。
価格は900mlの紙パックだとスーパーで800円ぐらいです。
越乃寒梅に比べるとかなり安いお酒です。 ところで、白鶴で最も売れているのは「白鶴まる」ですが(というか日本一売れている日本酒です)、これは上撰白鶴よりワンランク下の商品で、糖類と酸味料が添加されているお酒です。
さすがに、これと越乃寒梅を比べるわけにはいきません。 上撰白鶴の原材料は米、米麹、醸造アルコールだけ。
精米歩合や醸造アルコールの添加量は不明ですが、余計なものが入っていないのは越乃寒梅と同じです。
地酒の雄、越乃寒梅の普通酒に対しては、日本最大の酒造メーカー白鶴のスタンダード「上撰白鶴」は立ち位置は違っても対戦相手として不足はないでしょう。 説明はそれくらいにして、越乃寒梅と上撰白鶴を交互に飲み比べました。
温度を色々変えて飲んでみました。 上撰白鶴の方が少し甘いです。
風味はふんわりしています。
女性的といえるかもしれません。 それに比べて越乃寒梅はもっと硬質な味わいです。
キリッとした力強さを感じます。 んー、確かに違いがあるのは分かりました。
しかし、それでも基本的には似たようなお酒だなあという印象は変わりませんでした。 どちらが好きかと言えば、越乃寒梅の方ですが、甘口のお酒が好きな人なら上撰白鶴のほうが好き、という人もいると思います。 不特定多数の人を対象に、飲み比べテストをやってみたいですね。
まずはラベルを見せて飲み比べ。次にラベルを隠して飲み比べ。
ラベルを見せたらほとんどの人が越乃寒梅の方が美味しいと答えるでしょうが、ラベルを隠したらどうか。
案外票は割れると思います。 なお、上撰白鶴については個別記事を書いています。
www.sakeganomitai.com
希望小売価格は720mlで960円、1800mlで2,030円です。
日本酒としてはそれほど高い価格ではありません。
精米歩合58%のお酒としてはかなり安いと言えるかもしれません。 しかし、実際はプレミア価格で販売されていることがほとんどです。
近所のイオンだと720mlの商品が2千円程度で販売されていました。
約2倍ですね。しかし、越乃寒梅ブームだった頃は10倍の値がついたこともあったそうです。 定価で購入したいなら、越乃寒梅正規取扱店で購入するに限ります。 と言っても、それほど数は多くないですし、近所に全くお店がない、という人もいるでしょう。
その場合は、ネット通販の定価販売のお店で買いましょう。
ネットでもプレミア価格をつけているお店は多いですが、正規取扱店がネットで販売している場合は定価です。 かつては幻の銘酒と言われましたが、現在ではそこまで珍しいお酒ではありません。スーパーでも時折見かけるぐらいです。
入手難度ですが、入手自体は難しくないもののプレミア価格がついていることから普通とします。 食中酒として最適なお酒だと思います。
上質なお酒なので、燗してお酒だけでじっくり向き合うのもいいでしょう。
越乃寒梅といえど、価格の安い普通酒なので、普段飲みに使えます。 残念なのが、なかなか定価で買えないところです。 私の家の近所のイオンで720mlの白ラベルがいつも2千円ぐらいで売っていて、「さすが越乃寒梅。普通酒でも大吟醸ぐらいの値段がするんだ。強気だなあ。」と思って、手にとることはありませんでした。
プレミア価格が日本酒ファンを越乃寒梅から遠ざけている現状は不幸だと思いますし、石本酒造さんでも不本意なことだろうと思います。 越乃寒梅は知名度も評価も非常に高いお酒なので、作れば作るほど売れるはずです。
しかし、質にこだわるため規模を追わない酒造なので、どうしても供給不足になってプレミア価格がついて、一般の人から敬遠されてしまうのは酒造としてもジレンマだと思います。 スポンサードリンク ?
<概要>
原料:原料米 五百万石(新潟県)他
精米歩合:58%
アルコール度数 15度
日本酒度:+6<実際に飲んでみました>
<料理との相性は?>
<越乃寒梅と普通の日本酒、どこが違うのか?白鶴と飲み比べてみた!>
<価格は?入手難度は?>
取扱店一覧│越乃寒梅│石本酒造株式会社<どんな時に飲むお酒か?>
<越乃寒梅白ラベルの特徴のまとめ>
越乃寒梅白ラベルと普通の日本酒はどう違うのか? 飲み方は?価格は?
●越乃寒梅シリーズの普通酒
●キリッとして爽やかな飲みごたえ
●プレミア価格で販売されていることが多い
●入手難度:普通