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合成清酒 元禄美人のレビュー 普通の清酒との違いは?

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合成清酒「元禄美人」を飲んだのでレビューします。

純粋に合成清酒が飲みたかったわけではなく、単に見聞を広げたいがためだけに買って飲んでみました。

合成清酒にも多くの商品がありますが、私の近所で一番良く見かけるのが元禄美人です。
正直、味見だけできればいいので1800mlも必要なくて、その十分の一の量でいいのですが、1800mlパックしかないので仕方なくこれを買いました。

多分、不味いんだろうな、と思いつつ渋々飲んでみると、

おや、薄いけど、不味くはない。
かなり普通の清酒に似ているし、安いならこれはこれでありかもね。

続きは後ほど。

<概要>

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元禄美人は合同酒精(オエノングループ)が製造している合成清酒です。
なんで元禄美人という名前なのかは不明。
合成清酒はほぼ完全な工業製品ですし、元禄時代とも美人も全く関係なさそうです。

それよりまず、合成清酒について説明します。

大正時代、米が貴重だった頃、米をあまり使わなくても清酒(日本酒)に近い風味のあるお酒が考案されました。
清酒に醸造アルコールと糖類、アミノ酸などを加えて製造します。このお酒は昭和15年の酒税法改正で合成清酒と命名されました。

原材料費が安く、また、清酒に比べて酒税が安いため、清酒より低価格で売られています。

なお、元禄美人のスペックは以下のとおりです。
原材料:醸造アルコール、米、米麹、糖類、小麦たんぱく分解物/調味料(アミノ酸等)、酸味料
アルコール度数:12%

醸造アルコールが一番先頭に来ているので、最も多く含まれているのでしょう。
ただ、それ以外は安い清酒と成分はあまり変わりません。

安い清酒も糖類、アミノ酸、酸味料は入ってますし、合成清酒だからといって、特別変な成分が入っているわけではありません。
ただ、醸造アルコールの割合が多いだけだと思います。

近年は日本酒の製造料は減少していますし、日本酒の中でも大吟醸などの質の高い酒が注目されています。
合成清酒のような高品質志向と真逆の方向性のお酒は絶滅危惧種なのではないかと思いましたが、意外に根強い人気があります。

国税庁の統計によれば、昭和45年の合成清酒の生産量は32千klなのに対し、その間増減はあるものの、平成28年も32千klと変わっていません。

なお、昭和45年の清酒の生産量は1257千klなのに対し、平成28年も427千klと激減しています。

量こそ清酒には遠く及びませんが、生産量が減ってないことから、清酒に比べて大健闘していると言っていいでしょう。 データ出典:酒のしおり

では実際に飲んでみます。

<実際に飲んでみました>

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まずは常温で飲んでみました。
うーん、薄い。これが第一印象です。
でも、普通の清酒にかなり似た味わいです。
いや、これは言われなければ(安い)清酒と違いが分かりません。
味は甘口、甘味も強いです。
なんかいかにも安酒という味ですが、清酒にないような変な味はしません。

実は、飲む前は合成清酒ってすごく不味いんだろうな、と思い込んでましたが、そうじゃないです。
薄いだけで、不味くはないです。美味くもないけど。
まあ、ギリギリ飲める感じです。

次は冷やして飲んでみました。
薄い味がもっと薄くなりました。
合成清酒の味が好きじゃないなら冷やして飲むのがおすすめです。

次は温めました。
酸味が増して、若干ヨーグルトっぽい味わいになりました。清酒でもよくあるパターンです。
悪くはありませんが、個人的には常温で飲むのが一番バランスがよいかな、と感じました。

なお、味が薄いので食事の邪魔をすることはないでしょう。食中酒にも使えるでしょう。
むしろ、安いので料理酒として使ってもいいでしょう。

ところで、安酒は二日酔いになりやすいとか言われますが、翌日はそんなことはありませんでした。
合成清酒はイメージは良くないかもしれませんが、実際はそんな悪いお酒じゃないと思いますよ。

<普通の清酒との違いは?>

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合成清酒は普通の清酒とかなり似ていると感じましたが、実際に飲み比べてみました。
飲み比べるのは上撰白鶴。

飲み比べてみると、上撰白鶴のほうが味に深みがあります。
元禄美人は薄いと言うか、薄っぺらい…。

まあ、値段も上撰白鶴の方が高いですし、美味いのも当たり前なので、仕方ありません。

ちょっといい方を変えれば、元禄美人も値段の割に健闘していると言えるかもしれません。

<値段は?入手難度は?>

希望小売価格は1800mlで1,095円ですが、実際は5百円台で安売りされています。
というか、これが千円なら誰も買わないと思います。

清酒だと下は数百円から上は数万円まで価格差がありますが、合成清酒はどれも4百円から7百円ぐらいまでです。

入手難度ですが、うちの近所ではよく見かけるので一応、易としておきます。

<どんな時に飲むお酒か?>

いやもう、金がなくて酔っ払いたい時にしか使いみちがないと思います。
ただ、酔っ払うだけなら大五郎のような甲類焼酎の方がコスパはいいです。
日本酒が好きだけど、どうしても節約したい人向けのお酒です。

<合成清酒の未来>

概要のところでも書きましたが、この50年間、合成清酒の製造量はあまり変わっていません。清酒の製造量が激減している中で意外なほど根強い人気ですが、それでも合成清酒の寿命はそう長くないと思います。
というのも、清酒の値段も下がってきて、ランクの低い商品は合成清酒とそれほど変わらない値段で売っているからです。
そうなれば、清酒に比べて安いという合成清酒の最大のメリットはなくなります。

今後、合成清酒が生き残るとすれば、さらなる低価格化か、味の向上しかありません。

今でもかなり安いのでこれ以上の低価格化は難しいのではないかと思います。
やれるとしたら味の向上ですが、日本が誇る科学力や工業力があれば何とかなる気もしますがどうでしょうか。
清酒よりも美味い合成清酒を作ることができれば、合成清酒の生き残りの目はあると思います。
頑張れ、合成清酒。当分買わないけど。

あと、合成清酒というネーミングが良くない。
如何にも化学的に作られたパチもんの清酒というイメージです。

もっとこう、今風のネーミングを考えてみるべきです。
例えば、ライト清酒とかセカンド清酒とかカタカナにしてしまうとか。
少なくとも「合成」よりはマシだと思います。

<合成清酒の魅力を無理やり考えてみる>

安い以外の合成清酒の魅力を無理やり考えてみました。
まず、ネット調べてみると、清酒よりプリン体がかなり少ないのだとか。それは健康に気を使う人にとっては大きなアピールになりますね。ふむふむ。

次は…、えっと…。何かないかな。

今回、上撰白鶴と飲み比べて思いましたが、合成清酒を飲んだ後に普通の清酒を飲むといつもより美味いです。
日本酒(清酒)が美味くない、とかいう奴がいたら、先に合成清酒を飲ませてから日本酒を飲ませてやりましょう。きっとその美味さに感激するはずです。

合成清酒は安いので、余ったら料理酒として気兼ねなく使えるのもいいですね。高い酒だともったいないですが、合成清酒だと心理的負担は全くありません。

合成清酒はこのままだと絶滅してしまう可能性が高いので、今のうちに飲んでおいたほうがいいかも。
そしたら将来自慢できるかも。
「ワシの若い頃は合成清酒というのがあってな、当時はあまり美味いと思わなんだが、今思えば懐かしいの、フォッフォッフォ」ぐらいな感じで若者に年の功を思わせることができるかもしれません。

<元禄美人の特徴のまとめ>

●思ったほど不味くない
●薄い、薄っぺらい。
●風味は普通の清酒にかなり似ている
●入手難度:易


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