獺祭の主要商品である
●獺祭純米大吟醸50
●獺祭純米大吟醸磨き三割九分
●獺祭純米大吟醸磨き二割三分
を飲み比べました。
これらが180ml瓶1本ずつの入った飲み比べセットがあったので、購入してみました。
価格は2700円+送料でした(追記:現在Amazonでは送料無料になっています)。
これがもし、それぞれ一升瓶で購入したら合計で1万8千円程度します。
●獺祭50=約3千円
●獺祭三割九分=約5千円
●獺祭二割三分=約1万円
特に獺祭二割三分は1万円もする超高級日本酒なので通常であれば手が出ません。がぶ飲みする酒でもないので180mlあれば十分かと思いました。
では、それぞれの概要と飲んでみた感想をまとめてみます。
(なお、この3種類だけでなく、その他すべての獺祭のお酒をまとめた記事もあるので合わせて御覧ください。)
獺祭純米大吟醸50
獺祭純米大吟醸50は獺祭のスタンダードな商品です。
普通、獺祭と言うとこの商品を指すことが多いです。
限定品を除けば、獺祭ブランドの中では一番下の商品ではありますが、それでも精米歩合50%の大吟醸なので、悪かろうはずがありません。
獺祭50は有名ですし、比較的入手もし易いので、これまで何度か飲んだことがあって、私にとってはいちばん身近な大吟醸酒です。
飲むたびに「ああ美味い」といつも思います。
今回は飲み比べということで「ああ美味い」とか雑な感想ではなく、もうちょっと細かく言葉を選んで書きたいと思います。
まず、口当たりですが、大吟醸酒らしく、スッと入ってきます。
また、味わいも軽く、普通酒レベルの酒で感じる重たさも感じません。
香りはTHE大吟醸という感じ。マスカットのような果実香が口から鼻腔にかけてふわっと広がり、1杯飲み干しても香りは数秒間残ります。
うーん、もう1杯。
ツマミも用意してあったのですが、そんなの食べてる暇なんかなくてこれだけを、獺祭だけを飲み続けたい、そう思わせる格別な美味さです。
点数を付けたら100点です。
しかし、まだ獺祭三割九分・獺祭二割三分というこれよりランクが上のお酒が控えています。
おいおい、これ以上のお酒って、どんなんですか!?
期待は膨らみます。
獺祭純米大吟醸磨き二割三分
順番的には次に獺祭三割九分だろうと思うのですが、先に獺祭二割三分を飲みました。多分三割九分は50と二割三分の中間ぐらいの味だろうと思ったから正直興味は薄かったからです。
さて、精米歩合23%という規格外の日本酒です。
精米歩合50%で大吟醸という最高級のお酒になります。
精米歩合35%ぐらいの日本酒は、品評会に出すレベルの超高級酒です。
私も数えるぐらいしか飲んだことがありません。
それが23%って…。ちょっと想像がつきません。
なお、当初獺祭二割三分は精米歩合25%の商品として計画されていたそうです。
しかし、精米している途中に他のメーカーが24%の日本酒を販売していることが分かり、25%からさらに2%磨いて23%にしたそうです。
その時点で6昼夜精米していましたが、さらにその2%を削るのに24時間かかったそうです。
精米歩合23%までするのに約1週間もかかっているわけで、なぜそこまでやるのか、良くも悪くも狂気を感じます。
さて、期待を胸に、獺祭二割三分を頂きました。
おっ、軽い!こんな軽い酒初めて!
獺祭50もスッと入ってきましたが、獺祭二割三分はその比じゃない。水みたい。いや、気持ち水より質量が軽い液体に感じました。
味はほとんど感じません。ないことないけど、米の旨味がほんわかと少し、そして雑味0。
獺祭50も相当クリアなお酒だと思ってましたが、まだ上がありましたね。
これは飲もうと思えば、いくらでも飲める、口の中で全く引っかからない摩擦係数0みたいな酒です。
(しかし、高いし今回は180mlしかないので、ちびちび頂きました。)
飲み干した後も香りは口に残りますが、香りも獺祭50と比べるとふんわりと軽い気がします。
しかし、米って磨けば磨くほど、酒って変わるものなんですね。
勉強になりました。
獺祭50が最高のお酒なら獺祭二割三分は究極のお酒だと思いました。
獺祭二割三分は別格すぎて点数を付けるのが難しいですが、やはり100点としかいいようがないお酒です。
ただ、獺祭二割三分も素晴らしいお酒ということはわかりましたが、実は個人的には獺祭50の方が好きかな、と思いました。
獺祭二割三分は軽すぎて飲みごたえがない気がしますし、味もクリア過ぎて、もうちょっとだけ米の味がしても良いかなと思いました。
なんというか、獺祭50がシメジなら獺祭二割三分は松茸かな、と思います。
香りは確かにきのこの中でも別格でしかも高額なので年に1回みんな有難がってちびちび食べるのが松茸。
香りそこそこ味が良いシメジは値段も安く毎日食べても飽きない。
年に1回は松茸を食べたいと思いますが、毎日はいらないかな。
獺祭二割三分はそんなお酒に感じました。
獺祭純米大吟醸磨き三割九分
最後に獺祭三割九分を頂きました。
精米歩合39%というのは数ある大吟醸のお酒の中でも上位クラスです。ほぼ品評会に出すような日本酒のレベルです。
でも、獺祭ブランドの中ではミドルクラスの商品です。
早速飲んでみると…
やはり獺祭50と獺祭二割三分の中間ぐらいでした。
獺祭50より飲みくちは軽いですが、二割三分ほどではありません。
味は獺祭50ほどはっきり感じませんが、二割三分よりよりは米の旨味を感じます。
うーん、良く言えばバランスの良いお酒なのですが、両極端を知ってしまうと中途半端にも思えてしまいます。
もし、飲み比べでなくて、獺祭三割九分だけを飲んでいたら、素直にスゴイお酒だなあと思ったでしょうか、飲み比べてみると微妙です。
まとめ
今回、3種類の獺祭を飲み比べましたが、私の感想は以下のとおりです。
●個人的には最もグレードの低い獺祭純米大吟醸50が一番好み
●獺祭純米大吟醸磨き二割三分はスゴイお酒であることは分かったが、飲みごたえがない。
●獺祭三割九分も良いお酒だが、飲み比べると中途半端な感が否めない。
味や香りなんてものは感じ方に個人差も大きいですし、好き嫌いなら更に人それぞれだと思います。
個人的には獺祭50が最も好きでしたが、二割三分が最も好きという人もかなりの割合でいると思います。
ただ、値段を考えると、二割三分なんて普段飲みに使えないですし、これはおめでたいことがあった時やあるいはギフト向けのお酒だと思います。
日本酒の楽しみ方って、色々ありますが、こういうセット商品だと、簡単に飲み比べができるので、単品で楽しむより2倍楽しいですよ。
また、こう言っちゃなんですが、日本酒通を気取りたいなら、獺祭は絶対にお避けて置かなければいけない銘柄で、獺祭の基幹商品であるこの3つは飲んでおく必要があります。
「僕は値段の高い2割3分より、味わい深い獺祭50の方が好きなんだよ」なんて言うと何も知らない人は、よく分からんけどこの人詳しんやなと思うはずです?
精米歩合に関しては獺祭二割三分より上がいる!
祭純米大吟醸磨き二割三分は精米歩合23%の驚異的な日本酒ですが、調べてみるともっと上がいました。
私が調べたところ、Amazonで販売されている日本酒の中で最も精米歩合が低いのは山形県酒田市にある楯の川酒造が製造している「純米大吟醸 極限」というお酒です。
なんと精米歩合8%。
値段も2万円超!
まさに極限のお酒ですね。
→Amazonで純米大吟醸 極限720mlの評判・最新価格を見る
しかし、更に上を行く究極の日本酒が2017年10月に発売されました。
同じく楯の川酒造が製造している「純米大吟醸 光明(こうみょう)」です。
なんと精米歩合1%。
究極も行き着くところに行き着いたという感じです。
精米にかかった日数は75日。
米は精米しすぎて数の子の粒ぐらいまで小さくなるそうです。
お値段ですが、720mlで10万円!
でも、労力を考えれば10万円も妥当な価格なのかと思います。
150本の限定発売品なので、ほとんど市場には出回らないと思いますが、精米歩合1%の日本酒は後々まで伝説的に語られそうです。
精米歩合だけで日本酒の良し悪しが決まるわけではない
お米は外側の部分に米ぬかなど酒造りでは雑味の原因になりうる成分が多く含まれており、中心部に行けば行くほど純度の高いデンプンになります。
なので、外側を削れば削るほど、雑味の少ないクリアで香り高いお酒になります。
かといって、そういうお酒が最も美味しいのかというと個人差があります。
上述したように、私は精米歩合23%の獺祭より精米歩合50%の獺祭の方が好みです。
削りすぎたお米で作った日本酒はスッキリしすぎて飲みごたえがないので、私の好みではありませんでした。
また、お酒の味は、米だけでなく、
●水
●製法
●酵母
なども大きく作用するので、精米歩合だけでその日本酒を評価するのは不確かです。
とはいえ、精米歩合ははっきり数値で表示されるため、他の酒と比較しやすいですし、ゲームの点数を競うが如く競争が起きているように思います。
精米歩合1%の日本酒はその不毛に思える競争に終止符を打つお酒になるかもしれません。
これを飲んで「米は削りすぎても上手くない」とみんなが思ったら、精米歩合もある程度のところに落ち着くのではないでしょうか。
(個人的には最大限削っても35%ぐらいで十分だと思っています)
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