この記事の要点:日常的に飲酒する人は肝臓が心配だと思うが、普通の人が飲めない量を20年ぐらい飲み続けないと肝硬変になる可能性は低い。また、1合程度の量なら逆に体に良いという研究結果がある。
酒は体に悪い、と一般的に思われていますが、一方で、酒は百薬の長という言葉もあります。
現実的には成人の大半は飲酒の経験があるはずですが、酒で健康を損なったという人は少数派です。
なので酒は1滴も飲んではダメ、というのではなく、飲み過ぎてはいけない、というのが概ねの共通了解だと思います。
しかし、どれ以上の量が飲み過ぎなのかは、人それぞれだと思います。
とはいっても、どこまで飲んでいいかという一応の目安は存在します。
厚生労働省も公認している「節度ある適度な飲酒」量はその一つです。
「節度ある適度な飲酒」量は、日本人成人男性だと一日平均純アルコールで約20g程度であると言われています。
(厚生労働省HP:http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/b5.html)
純アルコールで約20gというのは、具体的にポピュラーなお酒に換算するとには以下のとおりです。
●ビール500ml(アルコール度数5%)
●日本酒1合(アルコール度数15%)
●ウイスキーダブル(アルコール度数43%)
●焼酎0.6合(アルコール度数25%)
この手の話は、二十代、三十代以上の人なら一度は聞いたことがあると思います。
飲酒しない人なら「ふーん、そんなものか。」
という感想しかないと思いますが、酒飲みからすると「節度ある適度な飲酒」量なんて机上の空論、暴論ですね!
日本酒1合は180mlなので、コップ一杯分です。
一日それだけで満足する酒飲みっているんですか?
1杯飲んだら、更にそれ以上飲みたくなるに決まってますよ。
それならまだ完全禁酒のほうが楽なくらいです。
ところで、私は現在休肝日なしで毎日焼酎を2合(日本酒換算で3合~4合)飲んでいます。
節度でも適度でもないですね。過剰といってもいいかもしれません。
そんな生活を10年以上続けていますが、特に体を壊したことはありません。
こんな基準、単なる脅しだろう、と思っています。
過剰に酒を飲み続けると肝臓が悪くなるリスクが高くなるのは確実ですが、日本酒1合という基準は厳しすぎというか、少なくとも肝臓に対しては意味が無いようです。
酒飲みが最も恐れるのがアルコール性の肝硬変です。
腹に水がパンパンに溜まって、呼吸がしづらくなって溺れるような苦しみを感じて死ぬ、そんなイメージがあります。
アルコール性肝硬変になるアルコール摂取量がどれぐらいかというと、いろいろ調べてみましたが諸説あります(以下は男性の場合。女性の場合は男性の1/2から2/3の量で肝硬変になりやすいと言われています)。
●アルコール80g/日(日本酒換算で3.5合、ビール3.5本、ウイスキー3.5杯いずれか)以下の飲酒は肝臓障害を起こさない安全域であり、80~160g/日では5倍、160g/日以上では25倍も肝硬変を起こす頻度が高くなると報告されています。
(LelbachやPequignotなどの研究(海外))
●日本酒換算で5合以上、週に35合以上を10年以上続けて飲んでいる人は、高い割合で肝障害を起こします。
●1日2合、1週間で14合以下なら肝臓を悪くする方の割合は減り、これ以下が一応の安全域と言えます。
(参考:https://medicalnote.jp/contents/150622-000005-REDRZN)
●積算飲酒量が 500Kg を越えると肝硬変になるリスクが高いと言われています。ロング缶2本を毎日だと 34年間、ワインボトル1/3本を毎日だと約50年間、日本酒3合を毎日だと約20年間で危険領域です。
(参考:http://www.hatchobori.jp/blog/2015/08/post-114-113280.html)
●アルコールを1日平均日本酒5合を15年間つづけると1~2割の人が、6合強を20年間続けると約半分の人が肝硬変になります。
(参考:https://allabout.co.jp/gm/gc/299312/2/)
様々な研究結果がありますが、共通するのは相当飲まないと肝硬変にならないということです。
なお、この中で、数字的に一番具体的なのが最後のallaboutの記事なので、以下はその数字を信用して私の思うところ書きます。
私だと、限界まで飲んで日本酒が6合から7合(翌日は確実に二日酔い)ですが、それを20年続けるのは難しすぎます。
また、超人的に努力して20年続けても、確実に肝硬変になるわけではなく、それでも確率が半分ですから、絶対に肝硬変になろうと思ったら更に量を増やすか年数を伸ばすしかありません。
今現在、私は日本酒換算で3合から4合ぐらいを毎日飲んでいて、それが15年ぐらい続いていますが、これぐらいだと肝硬変になる確率は低いようです。
私は自分の事を酒飲みと思っていますが、まだまだヒヨッコですね。
なお、1日2合ぐらいの飲酒量の人も多いかと思いますが、そういう人はあまり肝硬変のリスクは考えなくてよさそうです。
一方で、体質的にいくらでも酒が飲めるという人も一定数存在します。
1日6合強なんて余裕、と言っても金がかかりますよ。
1升(10合)1000円の安い日本酒だと、1日あたり600円強。1ヶ月2万円かかります。
それを20年続けて480万円です。
肝硬変になるにも大金が必要です。
金銭的にもそう簡単に肝硬変にはなれないですよ。
1日1合だと死亡リスクが減少する?
じゃあ、なぜ「節度ある適度な飲酒」が日本酒換算で1合なのかというと、1日1合程度の飲酒は逆に体にいいという研究結果があるからだと思われます。
お酒は肝硬変やガンに対するリスクは高めますが、1合程度の量だと、心疾患や脳梗塞のリスクが下げる効果があるとされます。
1合でも肝硬変やガンのリスクは僅かではありますが高めますが、トータルの死亡率は下がります。
男性であればアルコール量46~68.9g(日本酒換算2合~3合程度)、女性であればアルコール量23~45.9g(日本酒換算1合~2合程度)までなら、死亡リスクはお酒を飲まない人より低くなります。
それ以上の量だとリスクは高くなりますが、そのグラフはその形からJカーブと呼ばれます。
(参考:e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html)
私は1日3合以上は飲んでいるので残念ながら飲まない人より死亡リスクは高いですが、それでも1.3倍とかその程度です。10倍とかだったらちょっと控えようかな、と思いますが、1.3倍ぐらいだったら別にいいかなと思います(※個人の感想です)。
まとめ
●男性の場合、日本酒6合強を20年飲みつづけるて半分程度がアルコール性肝硬変になると言われている。
●私のように1日3合程度では、それほどアルコール性肝硬変について心配する必要はない(個人の感想です)。
●酒は1合程度なら寿命を伸ばす。
追記:アルコール体質検査をしました
アルコールに対する耐性や健康リスクは飲酒量だけでなく体質も関係してきます。
遺伝子を調べることにより、自分のアルコール体質が分かり、お酒との向き合い方を考える材料になります。
私が自宅でアルコール体質チェックをした体験談がこちらです。併せてご覧ください。